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月マントルは従来より鉄に富む可能性
要約
愛媛大学の研究チームはSPring-8で直方輝石のP波・S波速度と密度を1000℃・最大5.5万気圧下で測定し、アポロの地震観測と照合した結果、月上部マントル(深さ40〜740km)は約20mol%の鉄を含む組成が整合することを示しました。成果は学術誌に掲載されています。
本文
愛媛大学の研究チームは、月の上部マントルに相当する高温高圧条件で主要鉱物の弾性特性を実験的に測定し、その結果をアポロ計画で得られた月震データに照合しました。測定には大型放射光施設SPring-8のマルチアンビル装置と超音波・放射光X線を組み合わせた方法が用いられ、得られたデータから岩石モデルの地震波速度と密度が計算されました。これにより、従来のモデルと比べて月マントルの鉄分が多い説明が可能になる点が示されました。研究成果はGeophysical Research Lettersに掲載されています。
実験で示された点:
・実験条件は1000℃・最大5.5万気圧で、直方輝石のP波・S波速度と密度を測定したこと。
・測定はSPring-8のマルチアンビル装置と超音波測定、放射光X線測定の組み合わせで行われたこと。
・得られた弾性データと既存の鉄に富むかんらん石データを組み合わせて岩石モデルを作成したこと。
・アポロ計画の月震データと整合させた結果、月上部マントル(深さ40〜740km)は約20mol%の鉄を含む組成が説明に適すると判明したこと。
・成果は愛媛大学先端研究院地球深部ダイナミクス研究センターのチームによるもので、学術誌に掲載されたこと。
まとめ:
今回の実験データは、月の上部マントル組成を見直す材料を提供するとされ、地球–月系の形成過程や初期の内部活動に関する議論に影響を与える可能性が示唆されています。巨大衝突説に関する組成の解釈や、初期月の火成活動や磁場生成の議論と関連づけられる点が指摘されています。今後の公式な見解や追加の観測・解析結果が注目されます。
