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トリウム229、電子で核寿命を制御
要約
理研らの共同チームは、トリウム229の励起アイソマーをイオントラップで生成し、電子数を変えて半減期を大きく変化させることを示しました。実験で0.46±0.08秒の半減期が導出され、電子架橋遷移での壊変が示唆されます。
本文
理化学研究所、筑波大、阪大、東北大、KEKの共同研究チームは、トリウム229(Th)の励起アイソマーについて、原子核周囲の電子数を変えることで半減期が変化する現象を実験的に確認したと発表しました。Thアイソマーは励起エネルギーが約8.4eVと低く、価電子の結合エネルギーとほぼ等しいため電子状態に敏感である点が研究の背景です。研究ではウラン233線源から生成したThイオンをイオントラップへ輸送し、NOガスによる電荷交換で所望のイオン状態を作る新しい手法を用いました。イオンの検出では内部転換電子が観測され、アイソマー信号の個数をトラップ中で数えることが実証されました。
実験で確認された点:
・研究は理研、筑波大、阪大、東北大、KEKの共同チームによるもので、学術誌に発表されました。
・イオントラップ内でNOガスを使った電荷交換によりThイオンを大量に生成・捕捉できたことが示されました。
・中性化後に内部転換電子が検出され、アイソマー由来の短い半減期の信号が確認されました。
・アイソマーの半減期は0.46±0.08秒と導出されました。
・得られた半減期は内部転換やγ放出による既知の値と異なり、電子架橋遷移で壊変することが示唆されます。
まとめ:
今回の結果は、電子状態の操作で原子核の壊変過程と半減期を大きく変えられることを示しています。研究チームは今後、アイソマーから放出される光子の測定で電子架橋遷移を直接観測し、波長分析で壊変機構の解明を進めるとしています。原子核時計の実現に関わる応用が指摘されていますが、具体的な時期や手順は現時点では未定です。
