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巨大昆虫と酸素の謎
要約
約3億5000万年前に羽幅70センチに達した巨大トンボ類の存在説明としての「高酸素濃度説」が見直されています。最新研究は飛翔筋と気管系を比較分析し、酸素濃度が直接の制約ではない可能性を示唆します。
本文
約3億5000万年前に羽幅がおよそ70センチに達する巨大なトンボ類が存在していたとされています。これまでの通説では、当時の大気中の酸素濃度が現在より高かったために巨大化が可能になったと考えられてきました。1995年の論文以降、その考え方が広く受け入れられてきましたが、最近の国際研究チームの報告はこの見方に疑問を投げかけています。研究では昆虫の気管系と飛翔筋の関係を詳しく調べ、従来の説明だけでは全てを説明しきれない点が示されています。
報告されている点:
・古生代に存在した大型のトンボ類(グリフィンフライなど)は羽幅が約70センチに達したとされる。
・従来は高い大気中酸素濃度が巨大化を可能にしたと説明されてきたが、今回の研究はその単純な因果を疑問視している。
・研究チームは気管系(気管小枝)を調べ、44種の飛行昆虫で1320枚の顕微鏡画像を解析した。
・解析では気管小枝が飛翔筋に占める割合が非常に小さい(報告では約1%)ことが共通して確認され、鳥類や哺乳類の同機能器官と比べて体積割合は約10分の1程度とされる。
・研究者らは、気管小枝を増やす余地があることから、気管系の構造が体サイズの主要制約ではなかったと結論づけているが、他の生理的要因が関与する可能性も指摘している。
まとめ:
今回の研究は、巨大昆虫の成り立ちを巡る従来の「高酸素濃度説」を再検討する材料を提示しています。進化や生理の制約を考えるうえで気管系の柔軟性が注目される一方で、他の要因も影響した可能性が残ります。今後も追加の解析や議論が続く見込みで、現時点では結論は未定です。
