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半透明の福島 知らない人だから話せること
要約
猪苗代のはじまりの美術館で発表されたインスタレーション「半透明の福島」。半透明のビニールシートで迷路を構成し、音声や地図、投函された手紙を通して今日の風景や記憶を問いかける作品で、展示中に数百通の手紙が集まりました。
本文
作家は福島・猪苗代のはじまりの美術館からの依頼で、企画展「あしたときのうのまんなかで」に参加しました。美術館は医療法人が運営する民間施設で、障がい者福祉と芸術の関わりをテーマにした場として地域の人々の交流拠点にもなっていると紹介されています。作者は現地でフィールドワークを行い、高い窓からフレーミングされる隣接する墓地の風景に触発されて作品を構想しました。展示は2019年4〜7月に行われ、観覧者の記憶や現在の風景をめぐる体験を意図した内容になっています。
制作と展示の要点:
・作品タイトルは「半透明の福島」で、狭い廊下と展示空間に無数の半透明ビニールシートを吊るし迷路をつくった。
・シートは光をぼんやり通し、先が見えない通路を進ませる構成で、視界が閉ざされることで現在の風景だけが確かになる体験を目指した。
・入口でヘッドホンによる音声を聞き、掲示された地図に出身地をマークする仕掛けがある。
・迷路の途中から階段を上ると窓越しに墓が見える小部屋があり、そこでは少年の音声が流れ、来館者に手紙を書くよう促す設定になっている。
・書かれた手紙は下の暗室に並べられ、鑑賞者は懐中電灯で一通だけ開いて読むことができ、展示期間中に数百通が集まったとされる。
まとめ:
作品は震災後の風景や記憶、今日という時間を巡る体験を、物理的な視界の制約と声や手紙という媒体で提示しています。来館者の手紙が蓄積されることで個々の語りが他者に渡る仕組みとなっており、展示の以降の予定は現時点では未定です。
