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竹と生分解性ポリマーの複合材
要約
東北大学が竹シートと微生物由来の生分解性ポリマーPHBHを熱圧縮で積層し、最適構成で引張強度71.2MPaを達成しました。コンポストで45日間に約45%が分解し、分子レベルの劣化と力学特性の低下を結ぶ数理モデルも提案されています。
本文
東北大学の研究チームは、竹シートと微生物由来の海洋生分解性ポリマー「ポリ(3-ヒドロキシブタン酸-co-3-ヒドロキシ吉草酸)(PHBH)」を熱圧縮で積層したグリーン複合材料を開発したと発表しました。研究では積層構成の最適化を通じて力学性能の向上を目指し、材料の生分解挙動と力学特性の変化を組み合わせて評価しています。成果は学術誌「Polymer Degradation and Stability」に掲載され、研究チームは今後も配向や成形条件の最適化と環境ごとの分解メカニズム解明を進めるとしています。
主な結果:
・PHBH1層を竹2層で挟んだ「P1B2構成」でヤング率1.19GPa、引張強度71.2MPaを記録し、PHBH単体(引張強度21.4MPa)や竹単体(61.8MPa)を上回った。
・走査電子顕微鏡観察で、P1B2では竹繊維がPHBH中に良好に埋め込まれ、応力伝達に寄与する構造が確認された一方、積層数の増加は界面不良を招き得ることが示された。
・コンポスト試験で45日間に約45%が生分解し、分解進行に伴ってヤング率と引張強度が低下、引張強度保持率は生分解度に対して指数関数的に減少した。
・分子鎖のランダム切断理論に基づき、分子レベルの分解とマクロな力学劣化を結ぶ数理モデルを構築し、機能寿命の予測手法を提案した。
・海水および温水での浸漬試験でも力学特性の低下が確認され、海水環境ではヤング率が約43.7%、引張強度が約50%低下するなど劣化が顕著であり、塩類や微生物の影響が加速要因である可能性が示唆された。
・海水魚を飼育する水槽で19週間曝露した試験では、魚類への有害な影響は観察されなかったと報告された。
まとめ:
本研究は、竹とPHBHの積層による相乗的な補強効果と、コンポスト試験に基づく分解と力学劣化の定量的な結び付けを示しました。提案された数理モデルにより、使用環境に応じた耐用期間の設計が可能になるとされ、包装材や農業資材、海洋・沿岸関連製品などへの応用が想定されます。今後は配向や成形条件の最適化、環境別の分解メカニズム解明を進め、機能寿命設計型材料の実現を目指すとしています。
