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リュウグウで核酸塩基5種を確認
要約
JAMSTECなどの研究チームは、リュウグウ試料の高精度分析でアデニン・グアニン・シトシン・チミン・ウラシルの5種すべてを検出したと発表しました。HPLC/HRMSとCE/HRMSで交差検証し、6-メチルウラシルやヒポキサンチンなどの含窒素有機分子も同定しています。
本文
海洋研究開発機構(JAMSTEC)らの共同研究チームは、リュウグウ試料の網羅的な高精度解析を行い、DNA・RNAを構成する5種の核酸塩基を検出したと発表しました。試料は国際公募で採択されたA0480およびC0370を用い、水と塩酸による段階的抽出、脱塩と濃縮の後に分析が行われました。結果は英科学誌系の天文学術誌に掲載されています。背景には、RNAワールド仮説に関連して核酸塩基がどのように生成・輸送されたかを解明する必要があることがあります。
主な報告点:
・リュウグウ試料の抽出液からアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルの5種すべてが検出された。
・分析手法は高速液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析(HPLC/HRMS)と、原理の異なるキャピラリー電気泳動/高分解能質量分析(CE/HRMS)で交差検証され、整合的な結果が得られた。
・ヒポキサンチン、キサンチン、チミンの構造異性体である6-メチルウラシル、ニコチン酸類、アミノ酸、尿素、エタノールアミンなどの含窒素有機分子も同定された。
・リュウグウ、ベヌー、オルゲイユ隕石、マーチソン隕石の4試料で核酸塩基組成の比較データセットが構築された。
・試料間でプリン/ピリミジン比に差が認められ、マーチソン隕石はプリンに富む傾向があり、これがシアン化水素重合反応の影響である可能性が指摘されている。
・リュウグウ・ベヌー・オルゲイユ隕石ではアンモニア濃度とプリン/ピリミジン比に負の相関が観察された。
まとめ:
リュウグウ試料で5種の核酸塩基が確認されたことで、核酸塩基が太陽系物質中に広く存在することが改めて示されました。関連する含窒素分子の多様性も明らかになり、母天体内の化学進化を理解する上で比較可能なデータが整いつつあります。研究チームは今後、ベヌーに加えJAXAのMMXなどで得られる新たな試料の高精度分析を進め、組成とアンモニア濃度の関係を体系的に明らかにしていく予定としています。
