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ゲミンガ周辺の電子加速限界、約100TeVと特定
要約
チベットASガンマ実験の解析で、地球から約800光年のパルサー「ゲミンガ」周辺に広がるガンマ線ハローのスペクトルに約100TeV付近の急減(カットオフ)が確認され、電子の加速上限が約100TeVであることが示されました。周辺の拡散係数が銀河平均より小さい点も報告されています。
本文
横浜国立大学などのチームは、チベットASガンマ実験のデータ解析で、パルサー「ゲミンガ」周辺の高エネルギーガンマ線を精密に測定しました。観測は地球から約800光年のゲミンガを対象とし、空気シャワー観測と地下ミューオン検出器を組み合わせる手法で行われています。従来は数十TeVまでの観測にとどまっていましたが、今回100TeV超の領域でのスペクトル形状が高精度に得られました。発表は学術誌「Science Advances」に掲載されています。
得られた主な観測結果:
・ゲミンガからのガンマ線スペクトルは約100TeV付近で急減(カットオフ)を示しており、これにより電子の加速上限が約100TeVであることが示されました。
・約16TeV〜250TeVの範囲でガンマ線ハローの広がりを測定し、中心近傍の拡散係数が銀河平均の約100分の1と小さいことが分かりました。
・拡散係数はエネルギーの3分の1乗に比例する「コルモゴロフ型」と整合する傾向が示され、周辺の乱流特性が実験的に示唆されました。
・解析には2014年からの約2年分のデータを用い、地下2.4mに設置した水チェレンコフ型ミューオン検出器(設置面積約3400m²、水深1.5m)で宇宙線雑音を大幅に低減し、100TeV以上で雑音を1000分の1以下に抑えました。
・研究は横国大、東大、日大、神奈川大、信州大などによるThe Tibet ASガンマ Collaborationの成果として報告されています。
まとめ:
今回の結果は、ゲミンガ周辺で電子が約100TeVまで加速され、その伝搬が強く抑制されていることを示しており、同じパルサー由来でも「かに星雲」とは異なる物理環境が示唆されます。今後は南半球ボリビアで建設中のALPACAなどによる追加観測で、より広いエネルギー領域のデータが得られれば、パルサー風星雲における電子加速や伝搬の実態解明が進むとされています。
