← ニュースAll
白金ナノ粒子の3次元構造解明
要約
東京大学の研究チームが、原子分解能STEM像の統計解析と第一原理計算を組み合わせ、チタン酸ストロンチウム上に担持された白金ナノ粒子の3次元原子構造と電荷分布を解明しました。配位数の小さい表面原子に負の電荷とd電子の局在が生じ、そこが触媒活性を示すことが分かりました。触媒設計への応用が期待されます。
本文
東京大学の研究グループは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)基板に担持された白金ナノ粒子を対象に、原子分解能の走査透過型電子顕微鏡像を統計的に解析し、第一原理計算と組み合わせて3次元の原子構造と電子状態を明らかにしました。解析には環状暗視野像の像強度を精密に定量化し、マルコフ連鎖モンテカルロ法による回帰解析を用いています。得られたモデルを基に構造緩和と電子密度の計算を行い、表面と内部での電荷分布の違いやd電子のエネルギー分布を比較しました。これにより、従来の理想化されたナノ粒子像とは異なる低対称な表面原子の役割が示されました。
報告された主な点:
・白金ナノ粒子は直径約1.76±0.4 nm、高さは約1.96 nmで、投影方向に沿って最大5原子が存在することが分かりました。
・原子分解能STEM像の像強度を定量的に解析し、統計手法(MCMC)で原子数を同定して3次元構造を再構成しました。
・第一原理計算により、配位数の小さい表面原子に負の電荷が偏在することが示されました。
・表面原子ではd電子がフェルミレベル近傍に局在しており、内部原子とは電子状態が異なることが分かりました。
・電子顕微鏡による動的観察で、最表面の白金原子が隣接する低配位サイトへ移動する様子が確認されました。
まとめ:
本研究は、基板上に担持された白金ナノ粒子の実験的な3次元再構成と理論計算の組み合わせにより、低配位で電荷が偏った原子サイトが触媒活性に寄与することを示しました。これにより触媒設計に関する構造的な知見が得られ、材料開発への応用が期待されます。今後の追加的な実験や詳細な応用検討に関する公式発表や日程は、現時点では未定です。
