← ニュースAll

34億年前の浅瀬で硫黄代謝の痕跡

科学と地球参照元 : 1記事2026/4/16 5:00:00

要約

約34億年前のストレリー・プール層の堆積岩から、直径約0.01mmの同心円状黄鉄鉱を発見し、NanoSIMSによる硫黄同位体比と有機物分布の対応を高精度で確認しました。この結果は硫酸を利用する微生物活動が関与した可能性を示しています。

本文

東京大学などの研究チームは、オーストラリア・ピルバラのストレリー・プール層から採取した約34億年前の堆積岩に含まれる同心円状(コロフォーム状)黄鉄鉱を詳細に調べました。直径およそ0.01mmの微小構造を、ナノスケール二次イオン質量分析計(NanoSIMS)で硫黄同位体比や有機物の分布を高分解能に測定しています。測定の結果、黄鉄鉱内部で系統的な硫黄同位体比の変化と、有機物の層状分布が一致することが確認されました。これらの観察は、当時の浅瀬に局所的に硫酸に富む環境があり、そこで硫酸を電子受容体とする代謝が成立していた可能性を示しています。 報告されている点: ・試料は西オーストラリア、ストレリー・プール層の約34億年前の堆積岩です。 ・同心円状のコロフォーム状黄鉄鉱が直径約0.01mmの微小構造で見つかりました。 ・NanoSIMSを用いて硫黄同位体比(δS)をマイクロ領域で測定し、内部から外部へ20‰以上の系統的変動を検出しました。 ・同位体分布の境界には生物由来と考えられる層状の有機物(炭素同位体の特徴を持つ)が確認されました。 ・これらの結果は、異化的硫酸還元(硫酸呼吸)に相当する微生物活動が関与して黄鉄鉱が形成されたことを示唆しています。 まとめ: 本研究は微小領域での硫黄同位体分析を用い、太古代の浅海における局所的な硫酸に富む環境とそこに成立した硫黄代謝を示す地質学的証拠を提示しています。結果は初期地球の元素循環や生命の代謝戦略の理解に資するものです。また手法は地球外生命探査の鉱物学的バイオシグネチャー研究にも関連します。該当研究は学術誌に掲載されており、今後の追加的な発表や追試については現時点では未定です。

参照元